昨今、最低賃金を上げろデモが話題になっている。最低賃金を時給1500円にしろ、という発言が増えてきた。
実際問題、なんの設定や備えもせずに今すぐ1500円にしてしまえば、確実に日本社会は崩壊するでしょう。驚異的な経済改革か、あるいは人口減少+移民流出に伴い1人当たりGDPが増えたりしなければ、大量の失業者が発生し、場合によっては最低賃金を大きく下回る賃金で労働する人、6時間1500円+サービス残業2時間という人も出てくると予想されます。そんなことをしたら、最低賃金デモの若者(と彼らが自称しているため、以下単に「若者」と表記。)が、それを是正するために(当事会社ではなく)政府に突撃するのは目に見えています。
単に政府の力で時給をあげるだけでは「アングラ化」、及び「闇社会の増幅」を招くことは、歴史が証明しています。
そのため、今すぐ1500円にすることは到底不可能でしょう。あるいは、物価がこのまま2%上昇し続けるとしたら、恐らくは30年以内には実現するとは思いますが。
また、単に全ての仕事を時給1500円にしたところで、いままで時給850円の人が1500円になるのは確実ですが、例えば時給1200円の人であれは1500円にはなっても、850円の人と同様のベースアップ、賃金上昇は望めないでしょう。そしたら、国の水準に対しての貧困層、つまりは「相対的貧困層」が大幅に拡大します。一番下のラインが増えるだけです。
他に考えられることは、「失業者の大量発生」でしょう。スーパーのレジや工場の単純作業が時給1500円になるとしたら、経営者は機械化を推し進めてコストダウンを図るでしょう。そうしたら、スーパーのレジという仕事は現在の電話交換手やエレベーターガールのようなものになるのでしょうか。その一方で、大規模なセルフレジの導入が進めば、そのセルフレジの業界は儲かるのかもしれません。もっとも、それらの企業も時給1500円の煽りを受け衰退するのかもしれませんが・・・
そして、「物価の上昇」「企業の不採算地域からの撤退」「社会の混乱」も起きるでしょう。最悪の場合、「賃金は1.5倍になったが、物価はそれを上回った」ということになるかもしれません。現行の雇用のまま賃金だけが上昇した場合、物価は2倍か、あるいはそれ以上になることが予想されます。マックのハンバーガー200円、ビックマック800円の時代が来るかもしれません。その場合、当時の政権の失策としてやっぱり若者が議事堂にでも集結するのでしょうか。
また、物価が上昇すれば、企業の利益と言うのはどんどん減っていきます。そうすると、採算が取れない山間部・中山間部・離島などの僻地から企業は次々と撤退していくでしょう。そうなった場合に起こる最悪の事態は、中国などが当地域を買占め、勝手に植民していくことでしょうか。現在もそういう場所は少なくありませんが、これが全国的に起こった場合、日本は中国の属国・植民地になる可能性も少なくありません。・・・もっとも、彼ら若者がそういうことを望んでいるのなら話は別なのですが・・・
また、そういう事態が起こると、全国で社会的混乱が起きるのは確実。そうなれば、大きく経済的には停滞し、日本は没落の一途を辿ることになりそうです。
ただし、下備えさえすれば、影響を最低限に抑えることも可能です。例として、残業の原則禁止、機械化に対する補助金が考えられます。
というより、長時間労働の問題からして、労働力は現時点でも不足しており、それを補うために機械化を推し進めれば、時給1500円でも雇うことはできるでしょうね、たぶん
終わり
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